「デンタルフロスを使うと、いつも同じ場所から血が出る」
「ほかの歯茎は大丈夫なのに、一箇所だけ出血する」
「毎日フロスをしているのに、どうして血が止まらないの?」
このような経験はありませんか?
歯磨きのときには出血しないのに、フロスを通したときだけ血が出ると、虫歯や歯周病ではないかと心配になる方もいるでしょう。
フロスで毎回同じ場所から血が出る場合、その部分の歯茎に炎症が起きている可能性があります。
原因として多いのは歯肉炎や歯周炎ですが、フロスの使い方、詰め物の形態、歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい状態などが関係する場合もあります。
また、歯と歯の間の虫歯が間接的に出血に関係している可能性もあります。
ただし、フロスで血が出ることだけで、歯周病や虫歯と診断することはできません。
この記事では、ベトナム・ホーチミンのありが歯科が、フロスで一箇所だけ出血する5つの原因、血が出てもフロスを続けてよいのか、歯医者を受診する目安について、日本人歯科医師の立場から解説します。

結論|フロスで同じ場所から出血するなら、その部分の歯茎を確認しましょう
デンタルフロスを使ったときに血が出る主な原因は、歯茎の炎症やフロスによる機械的な刺激です。
特に、毎回同じ歯と歯の間から出血する場合は、その部分にプラークが残っていたり、局所的な炎症が続いていたりする可能性があります。
一方、フロスを強く押し込んで歯茎を傷つけている場合もあります。
確認したいポイントは次の3つです。
- 同じ場所から繰り返し出血するか
- 歯茎の腫れ、赤み、痛み、口臭などがあるか
- フロスを正しく使っても出血が続くか
出血が繰り返される場合は、歯科医院で原因を確認することをおすすめします。
1.フロスで毎回同じ場所から血が出る5つの原因
原因① 歯肉炎|歯と歯の間にプラークが残っている
フロスによる出血で、まず考えられるのが歯肉炎です。
歯肉炎は、歯茎に炎症が起きている状態です。
歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくく、プラーク(歯垢)が残りやすい場所です。
プラークが蓄積すると、細菌に対する炎症反応によって歯茎が赤く腫れ、わずかな刺激でも出血しやすくなることがあります。
例えば、奥歯の一箇所だけ清掃が不十分な場合、その部分だけ炎症が起こり、フロスを通すたびに血が出ることがあります。
歯肉炎の段階では、適切なプラークコントロールによって炎症が改善する可能性があります。
ただし、歯石が付着している場合などには、歯医者さん、歯科医院でのクリーニングが必要になることもあります。
原因② 歯周炎|歯茎の奥で炎症が続いている
フロスで毎回同じ場所から出血する場合、歯周炎が関係している可能性もあります。
歯周炎は、歯茎の炎症だけでなく、歯を支える歯槽骨などの歯周組織にも破壊が生じる病気です。
歯周炎が進行すると、歯周ポケットが深くなり、歯茎の内部に炎症が続くことがあります。
その結果、フロスや歯ブラシの刺激によって出血する場合があります。
歯周炎では、次のような症状がみられることがあります。
- 歯茎から出血する
- 歯茎が赤く腫れている
- 歯茎が下がってきた
- 歯と歯の間に隙間ができた
- 口臭が気になる
- 歯がぐらつく
ただし、歯周炎は初期には自覚症状が乏しいこともあります。
フロスで血が出るかどうかだけでは、歯肉炎と歯周炎を区別できません。
歯周ポケット検査やレントゲン検査などを組み合わせて診断する必要があります。
原因③ フロスの使い方が強すぎる
歯茎に炎症がなくても、フロスの使い方によって出血する場合があります。
例えば、フロスを歯と歯の間に勢いよく押し込むと、歯間乳頭を傷つけることがあります。
また、歯茎に強く押し当てたり、同じ部分を何度も強くこすったりすると、出血の原因になります。
特に注意したいのは、歯と歯の接触部分を通過するときです。
フロスが急に滑り落ちて歯茎に当たると、傷ができることがあります。
フロスは力を入れて押し込むのではなく、ゆっくり左右に動かしながら通すことが大切です。
毎回同じ場所でフロスが引っかかる場合には、無理に通さず、歯科医院で確認しましょう。
原因④ 詰め物・被せ物の形が合っていない
フロスを使うと、特定の詰め物や被せ物の周囲だけから血が出ることがあります。
この場合、修復物の形態や適合状態が関係している可能性があります。
例えば、詰め物の縁に段差があったり、歯と歯の接触関係が適切でなかったりすると、プラークが残りやすくなる場合があります。
その結果、局所的な歯肉炎が起こり、フロスで出血しやすくなることがあります。
また、修復物の縁にフロスが引っかかり、歯茎を傷つけている場合も考えられます。
次のような症状があれば注意しましょう。
- 同じ詰め物の部分で毎回出血する
- フロスが引っかかる
- フロスが毛羽立つ、切れる
- 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
ただし、これらの症状だけで詰め物の不適合と断定することはできません。
歯科医院で修復物の形態や隣接面の状態を確認することが重要です。
原因⑤ 歯と歯の間の虫歯・食片圧入
「フロスで血が出るのは虫歯が原因ですか?」
この質問もよくあります。
虫歯そのものが歯茎からの出血を直接引き起こすとは限りません。
しかし、歯と歯の間に虫歯ができると、歯の形態や接触関係が変化し、食べ物が詰まりやすくなることがあります。
食べ物が繰り返し詰まると、周囲の歯茎が刺激され、炎症が起こる場合があります。
このような状態を食片圧入といいます。
また、隣接面の虫歯や修復物の問題によって清掃が難しくなり、プラークが残りやすくなる場合もあります。
その結果、フロスを使ったときに同じ場所から出血することがあります。
フロスによる出血だけで虫歯とは判断できませんが、毎回同じ場所に食べ物が詰まる場合には、虫歯や修復物の状態を確認する必要があります。
2.フロスで出血する原因を症状から整理
| 症状 | 考えられる原因 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 毎回同じ場所から出血する | 局所的な歯肉炎、歯周炎など | 歯茎の腫れ、プラーク、歯周ポケット |
| フロスを強く通したときだけ出血する | 機械的な傷 | フロスの通し方 |
| 詰め物の周囲だけ出血する | 修復物の形態、局所的な炎症 | 段差、適合状態、清掃性 |
| 食べ物が詰まる場所から出血する | 食片圧入、虫歯、接触関係の問題 | 隣接面の状態 |
| 出血に加えて歯茎が腫れている | 歯肉炎、歯周炎、その他の炎症 | 歯周組織の検査 |
| フロス以外でも自然に出血する | 強い局所炎症、全身的な要因など | 早めの歯科・医科での評価 |
この表は原因を推測するための目安です。症状だけで確定診断することはできません。
3.フロスで血が出ても使い続けていい?
結論として、歯茎に軽い炎症がある場合は、正しい方法で清掃を続けることが大切です。
ただし、出血している場所を強くこすったり、無理にフロスを押し込んだりしてはいけません。
出血したらフロスをやめるべき?
歯肉炎による出血の場合、フロスを完全にやめてしまうと、歯と歯の間にプラークが残り、炎症が改善しにくくなる可能性があります。
そのため、痛みが強くなく、軽い出血であれば、優しく清掃を続けることが一般的には適切です。
一方、フロスによって傷ができている場合や、強い痛み・大量の出血がある場合には、無理に続けず歯科医院に相談してください。
出血は何日くらいで改善する?
歯肉炎が原因であれば、適切なプラークコントロールによって数日から1〜2週間程度で出血が減ることがあります。
ただし、改善までの期間には個人差があり、歯石の付着や歯周炎などがある場合は、セルフケアだけでは改善しないこともあります。
正しい方法でフロスを使っても1〜2週間程度出血が続く場合や、毎回同じ場所から出血する場合は、歯科医院で確認しましょう。
また、腫れや痛みがある場合は、その期間を待つ必要はありません。
4.歯茎を傷つけない正しいフロスの使い方
フロスを使用するときは、歯茎を傷つけずに歯と歯の間のプラークを除去することが重要です。
① フロスをゆっくり歯と歯の間に通す
フロスを勢いよく押し込まず、左右に小さく動かしながら通します。
歯と歯の接触部分を越えたら、急に歯茎へ落とさないよう注意しましょう。
② 歯の側面に沿わせる
フロスを歯の側面に沿わせ、C字型に軽く巻き付けるようにします。
歯茎に強く押し込むのではなく、歯の表面に沿って優しく動かします。
③ 隣の歯の側面も清掃する
歯と歯の間には、左右2つの歯の側面があります。
片側だけでなく、反対側の歯の表面も清掃することが大切です。
④ 同じ場所を何度も強くこすらない
出血が気になるからといって、同じ部分を何度も強くこするのは避けましょう。
また、フロスが引っかかる場合は、無理に引き抜かず、必要に応じて片側から抜くなどして歯や修復物を傷つけないようにしてください。
5.フロスを毎日しているのに同じ場所から出血するのはなぜ?
「毎日フロスをしているのに、同じ場所だけ血が出る」
この場合、単純にフロスの回数を増やすだけでは解決しない可能性があります。
例えば、歯と歯の間に歯石が付着している場合、フロスだけでは歯石を除去できません。
また、深い歯周ポケットが存在する場合、通常のフロスでは歯茎の奥にある感染性の沈着物を十分に除去できないことがあります。
詰め物の段差や接触関係の問題がある場合も、清掃だけでは原因を解決できないことがあります。
このような場合には、歯医者さん、歯科医院で次の項目を確認します。
- 歯茎の炎症の有無
- 歯周ポケットの深さ
- 歯石の付着
- 詰め物や被せ物の状態
- 隣接面の虫歯
- フロスの使用方法
必要に応じて、歯石取りや歯周治療、修復物の調整・再治療などを検討します。
6.フロスで出血するのは歯周病の初期症状?
フロスによる出血は、歯肉炎や歯周炎で見られる症状の一つです。
ただし、出血があるから必ず歯周病というわけではありません。
歯周病という言葉は、歯肉炎や歯周炎などを含む広い意味で使われることがあります。
歯肉炎では、炎症が主に歯茎に限局しています。
一方、歯周炎では、歯を支える組織に破壊が生じています。
この違いは、フロスで出血するかどうかだけではわかりません。
歯周炎の診断には検査が必要
歯科医院では、歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯周組織の付着状態、レントゲンでの骨の状態などを確認します。
特に、歯周ポケット検査時の出血は、歯周組織の炎症を評価する指標の一つです。
ただし、フロスでの出血と歯周ポケット検査時の出血は、同じ検査ではありません。
フロスで出血するという情報だけで、歯周炎の有無や進行度を判断することはできないのです。
歯周病の進行状況をチェック!歯周ポケット、進行度合い、治し方
7.フロスの出血を放置するとどうなる?
歯肉炎が原因で出血している場合、適切な清掃や歯科医院での処置によって改善する可能性があります。
しかし、炎症の原因となるプラークや歯石が残り続けると、炎症が持続する場合があります。
また、すでに歯周炎が存在する場合には、適切な歯周治療を受けないことで歯周組織の破壊が進行する可能性があります。
一方、詰め物の段差や食片圧入が原因であれば、清掃だけでは同じ場所の炎症を繰り返すことがあります。
そのため、毎回同じ場所から出血する場合は、原因を確認することが重要です。
8.フロスで血が出るとき、歯医者に行く目安
次のような場合には、歯科医院での診察をおすすめします。
| 状態 | 受診の目安 |
|---|---|
| 初めてフロスを使い、少量出血した | 優しい清掃方法を確認し、経過をみる |
| 毎回同じ場所から出血する | 原因確認のため歯科受診を検討 |
| 1〜2週間ほど正しく清掃しても出血が続く | 歯科医院で検査を受ける |
| 歯茎の腫れや痛みがある | 早めに受診 |
| 食べ物が毎回同じ場所に詰まる | 虫歯や修復物の状態を確認 |
| フロスを使わなくても出血する | 早めに受診 |
| 出血が多い、止まりにくい、ほかの部位でも出血する | 速やかに歯科・医科で評価を受ける |
特に、出血が止まりにくい、鼻血やあざなども増えている、抗凝固薬などを服用している場合には、歯茎以外の要因も考慮する必要があります。
9.ホーチミンでフロスによる歯茎の出血が気になる日本人の方へ
ベトナム・ホーチミンで生活している日本人の方の中には、日本から持参したデンタルフロスを使って毎日歯のケアをしている方もいるでしょう。
しかし、毎日フロスを使っていても、特定の場所から繰り返し出血することがあります。
「フロスをすると血が出るけれど、歯医者に行くほどではない」
「日本に帰国するまで様子を見よう」
そのように考える方もいるかもしれません。
ただし、同じ場所から出血が続く場合には、歯肉炎や歯周炎、歯石の付着、詰め物の状態などを確認することが大切です。
ホーチミンのありが歯科では、日本人歯科医師による診察に加え、日本の歯科衛生士によるクリーニングや口腔ケアのサポートを行っています。
フロスで毎回同じ場所から血が出る場合には、歯医者さん、歯科医院で原因を確認し、ご自身のお口の状態に合った清掃方法を身につけましょう。
10.よくある質問(FAQ)
Q1.フロスで毎回同じ場所から血が出るのは歯周病ですか?
歯肉炎や歯周炎が原因の可能性がありますが、フロスによる傷や詰め物の問題なども考えられます。出血だけで歯周病と診断することはできません。
Q2.フロスで一箇所だけ血が出るのはなぜですか?
その部分だけプラークが残っていたり、局所的な歯肉炎が起きていたりする可能性があります。また、フロスの使い方や詰め物の形態が関係する場合もあります。
Q3.フロスで血が出るのは虫歯が原因ですか?
虫歯そのものが直接歯茎からの出血を起こすとは限りません。ただし、歯と歯の間の虫歯によって食べ物が詰まりやすくなり、周囲の歯茎に炎症が起こる場合があります。
Q4.フロスで血が出ても毎日続けていいですか?
軽い歯肉炎による出血であれば、優しく適切な清掃を続けることが重要です。ただし、強い痛みや多量の出血がある場合、フロスが引っかかる場合は無理に続けず歯科医院に相談してください。
Q5.フロスの出血は何日で治りますか?
歯肉炎が原因の場合、適切な清掃によって数日から1〜2週間程度で改善することがあります。ただし、原因によって異なり、歯石や歯周炎がある場合には歯科治療が必要になることがあります。
Q6.毎日フロスをしているのに血が出るのはなぜですか?
歯石の付着、歯周炎、修復物の形態、フロスの使い方などが関係する場合があります。毎回同じ場所から出血する場合には、歯科医院で原因を確認しましょう。
Q7.フロスで血が出る場合、歯間ブラシに変えた方がいいですか?
歯と歯の間の隙間や歯周組織の状態によって、適切な清掃器具は異なります。歯間ブラシが適している場合もありますが、無理に太いサイズを使用すると歯茎を傷つけることがあります。歯科医院で適切な器具やサイズを確認するとよいでしょう。
Q8.フロスで出血するのに痛みがない場合は放置して大丈夫ですか?
痛みがなくても歯肉炎や歯周炎が存在する場合があります。繰り返し出血する場合は、痛みがなくても歯科医院で確認することをおすすめします。
まとめ|フロスで同じ場所から血が出るなら原因を確認しましょう
フロスで毎回同じ場所から血が出る場合、歯茎の炎症が原因になっている可能性があります。
代表的な原因は次の5つです。
- 歯肉炎
- 歯周炎
- フロスによる機械的な刺激
- 詰め物・被せ物の形態や適合の問題
- 隣接面の虫歯や食片圧入
特に、毎日フロスを使っていても同じ場所から出血する場合は、単純に清掃回数を増やすだけでは改善しないことがあります。
大切なのは、出血している場所を強く磨くことではなく、なぜその場所から出血するのかを確認することです。
ホーチミンでフロスによる歯茎の出血が気になる日本人の方は、ありが歯科へご相談ください。
参考文献
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https://www.ada.org/resources/ada-library/oral-health-topics/floss-interdental-cleaners - 日本歯周病学会『歯周治療のガイドライン2022』
https://www.perio.jp/
執筆・監修歯科医 ありが歯科院長 有賀智哉
日本人歯科医師として、ホーチミン旧1区にて日本品質の歯科治療を提供。
一般歯科・小児矯正・インプラント・ホワイトニングまで幅広く対応しています。
日本語対応で安心してご相談いただけます。
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