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ラグビー、サッカー、バスケットボール、格闘技などのスポーツでは、相手選手との接触や転倒によって、歯が折れる・欠ける・抜ける、唇や口の中を傷つけるといった外傷が起こることがあります。

特にラグビー、格闘技のようなコンタクトスポーツでは、身体だけでなく「歯や口をどう守るか」も考えておきたいポイントです。

私は歯科医師として診療を行う一方、現在ホーチミンのラグビー教室に関わる機会があります。実際に子どもから大人までスポーツを楽しむ姿を見るなかで、ケガをしてから歯を治療するだけでなく、ケガをする前に歯を守ることも歯科医療の大切な役割だと感じています。

この記事では、ホーチミンのありが歯科が、スポーツ用マウスガードの必要性、市販品との違い、子どもが使用するときの注意点などを歯科医師の立場から解説します。


結論|コンタクトスポーツではマウスガードによる歯の保護を考えましょう

マウスガードは、スポーツ中に歯や口に加わる衝撃から口腔内を守るための装置です。

American Dental Association(ADA)は、歯や口腔顔面に外傷を受けるリスクが高いスポーツでは、適切にフィットしたマウスガードの使用を推奨しています。ラグビーだけでなく、サッカー、バスケットボール、格闘技、ホッケー、なども対象として挙げられています。Ada Initiative

2024年のシステマティックレビューでも、成人競技者を対象とした研究では、歯の外傷は非コンタクトスポーツよりコンタクトスポーツで多い傾向が報告されています。PubMed

ただし、

「コンタクトスポーツをする人なら全員同じマウスガードでよい」

というわけではありません。

年齢、競技、接触の強さ、歯並び、矯正装置の有無、乳歯と永久歯の交換時期などによって、適したマウスガードは変わります。

まず知っておきたいポイント

疑問結論
ラグビーにマウスガードは必要?歯・口の外傷予防のため使用を推奨
子どもでも必要?年齢より競技の外傷リスクで考える
サッカーやバスケは?接触・転倒による歯の外傷リスクがある
市販品でもいい?適切にフィットして継続使用できることが重要
歯科医院製との違いは?個人の歯列に合わせて製作できる
一度作ればずっと使える?特に成長期は定期的な適合確認が必要
矯正中でも使える?装置や歯の移動を考慮する必要がある

スポーツではどんな歯のケガが起こる?

スポーツ中に顔や口へ強い力が加わると、さまざまな外傷が起こります。

歯が欠ける・折れる

前歯にボール、肘、膝、頭などが当たり、歯の一部が欠けたり大きく破折したりすることがあります。

表面だけの破折で済む場合もありますが、破折が深ければ歯の神経まで達することがあります。

歯が動く・位置がずれる

衝撃によって歯を支える組織が損傷し、歯がぐらついたり、本来の位置から移動したりすることがあります。

歯が完全に抜ける

強い衝撃によって永久歯が完全に抜けてしまう**脱臼(avulsion)**が起こることもあります。

この場合は時間が重要です。

抜けた永久歯は根の部分を強く触ったり乾燥させたりせず、可能な限り早く歯科医院を受診する必要があります。

※乳歯が完全に抜けた場合は、永久歯と対応が異なり、通常は元の場所へ戻しません。

唇・頬・舌などのケガ

歯そのものだけでなく、衝撃によって歯が唇や頬の内側に当たり、軟組織を傷つけることがあります。

マウスガードには、こうした歯と軟組織の外傷の発生・重症化を抑える役割も期待されます。Ada Initiative


マウスガードは本当に効果がある?

マウスガードの目的は単に「歯を覆うこと」ではありません。

外から加わった衝撃を吸収・分散し、歯や口腔周囲組織に伝わる力を軽減することが目的です。

ADAは、スポーツ用マウスガードの使用によってスポーツ関連の歯科外傷リスクが低下することを示す研究をまとめています。Ada Initiative

そのため、

「歯が折れてから治す」のではなく、「歯が折れるリスクをできるだけ減らす」

というのがスポーツ歯科における重要な考え方です。


マウスガードで脳震盪も防げる?

ここは誤解されやすいところです。

マウスガードについて「脳震盪を予防できる」と説明されることがありますが、歯・口腔外傷を減らすエビデンスに比べ、脳震盪予防についての研究結果は一貫していません。

ADAも、脳震盪リスクを低下させるかについては研究結果が混在しており、さらなる研究が必要としています。Ada Initiative

したがって、

マウスガード=脳震盪を防止できる装置

とは考えず、まずは歯や口腔周囲を守るための装置として考えるのが適切です。


自分の歯が「相手を傷つける」こともあります

コンタクトスポーツで考えたいのは、自分の歯がケガをするリスクだけではありません。

ラグビーなどでは、タックル、ラック、モールなどで選手同士の顔や頭が予期せず接触することがあります。

その際、自分の前歯が相手選手の顔や頭、腕などに強く当たれば、歯が相手の皮膚を傷つける可能性があります。

特に前歯は硬く、衝突の仕方によっては相手選手に切り傷などの外傷を生じさせることがあります。

また、自分自身もその衝撃によって歯を折ったり、唇や口の中を傷つけたりする可能性があります。

つまりコンタクトスポーツにおける口の保護は、

「自分の歯を守る」
「自分の唇や口の中を守る」
「接触した相手に歯による外傷を与えるリスクも考える」

という複数の視点から考えることができます。

マウスガードは「自分を守るためだけ」のものではない

マウスガードの主な目的は、スポーツ中の衝撃から歯や口腔周囲組織を保護することです。

しかし、ラグビーのように選手同士が激しく接触する競技では、口の中に硬い歯が露出していること自体が、接触時には相手への外傷につながる可能性があることも知っておきたいポイントです。

マウスガードを使用したからといって相手選手への外傷を完全に防げるわけではありませんが、コンタクトスポーツでは自分と相手の双方の安全を考え、適切な保護具を使用することが大切です。

私自身、ホーチミンのラグビー教室に関わるなかで、マウスガードは単に「自分の歯を守るためのもの」と考えるだけでは不十分だと感じています。ラグビーは相手がいて成立するスポーツです。**自分の歯や口を守ると同時に、接触する相手の安全にも配慮する。**そうした考え方も、特に子どもの頃から伝えていきたいと思っています。

ラグビー以外ではどんなスポーツに必要?

マウスガードを検討するのはラグビー選手だけではありません。

ADAでは、ラグビーのほかにも、

ボクシング・格闘技
サッカー
バスケットボール
ホッケー
レスリング
ラクロス
ハンドボール
水球

など、接触や衝突のある競技を挙げています。Ada Initiative

さらに、転倒や器具との衝突などによって口腔外傷が起こり得る競技もあります。

つまり判断基準は、

「コンタクトスポーツという名前が付いているか」ではなく、「競技中に歯や口へ強い衝撃が加わる可能性があるか」

と考えると分かりやすいでしょう。


子どものマウスガードは大人と何が違う?

子どもの場合、特に注意したいのが成長と歯の生え変わりです。

American Academy of Pediatric Dentistry(AAPD)も、口腔顔面外傷リスクの高い子どもに対する適切なマウスガードの使用や、歯科医師による保護装置の指導を推奨しています。AAPD

乳歯から永久歯へ生え変わる

6歳前後から永久歯への交換が本格的に始まります。

そのため、

永久歯が新しく生えてくる
乳歯が抜ける
歯列が変化する

などによって、以前作ったマウスガードが合わなくなることがあります。

子どもでは「一度作ったら何年間もそのまま」ではなく、歯の生え変わりや成長に合わせて適合を確認することが重要です。

「子どもの歯科検診・予防歯科」


矯正中の子どもはどうする?

矯正治療中でもスポーツをすることはあります。

ただし、ブラケットなどの固定式矯正装置が付いている場合には、歯の移動や装置を考慮したマウスガードが必要になることがあります。

マウスガードが強く歯を押さえ込んでしまうと、矯正による歯の移動を妨げる可能性もあるため、矯正中は自己判断でサイズの合わないマウスガードを長期間使用せず、担当歯科医師・矯正歯科医に相談することをおすすめします。

「ありが歯科の小児矯正」


市販のマウスガードと歯科医院で作るものは何が違う?

スポーツ用マウスガードには大きく、

既製品
熱湯で軟化して自分で合わせるタイプ(ボイル&バイト)
歯科医院で歯型・口腔内スキャン等をもとに作るカスタムタイプ

があります。

ADAによれば、カスタムタイプは個人の歯列に合わせて製作でき、フィットや適合性を調整できるのが特徴です。一方、適切に製作され、正しく使用される市販タイプにも選択肢があります。Ada Initiative

市販品歯科医院製
歯列への適合製品による個人の歯列に合わせる
保持合わない場合がある調整しやすい
厚み基本的に既定設計・調整可能
子どもの成長への対応自己判断になりやすい歯科で適合確認可能
矯正中注意が必要状態に合わせて検討
費用比較的低い市販品より高くなる

ここで重要なのは、

「市販品だから意味がない」「歯科医院製なら絶対にケガをしない」

ということではありません。

どんなマウスガードでも100%外傷を防げるわけではなく、適切にフィットし、実際に競技中に継続して装着できることが重要です。


マウスガードは何歳から作れる?

「○歳になったら必要」という明確な年齢だけで決めるものではありません。

重要なのは、

何のスポーツをしているか
どの程度の接触があるか
乳歯・永久歯の状態
歯並び
矯正装置の有無

です。

特に成長期では歯列が変化するため、現在のマウスガードがきつい、外れやすい、痛い、歯に強く当たるようになった場合には、使用を続ける前に適合を確認した方がよいでしょう。


ありが歯科がスポーツ用マウスガードで大切にしたいこと

ありが歯科では、スポーツ用マウスガードを単なる「歯を覆う装置」とは考えていません。

重要なのは、

競技に適していること
歯列に適合していること
痛くないこと
外れにくいこと
実際に選手が使い続けられること

です。

どれほど性能のよいマウスガードでも、違和感が強く、練習や試合で外してしまえば十分に役割を果たせません。

特に子どもでは、歯の生え変わりや顎の成長も考える必要があります。

私は現在、ホーチミンのラグビー教室に関わる機会があります。

そこで子どもたちがラグビーを楽しむ姿を見ていると、歯科医院の役割は虫歯を治すだけではなく、

「スポーツを思い切り楽しみながら、自分の歯を守る」

ことをサポートすることにもあると感じます。

ありが歯科では、子どもだけでなく、ホーチミンでラグビー、サッカー、バスケットボール、格闘技などを楽しむ大人の方についても、口腔内の状態や競技内容を確認しながらスポーツ時の歯の保護について一緒に考えていきます。


スポーツで歯が折れたり抜けたりしたらどうする?

マウスガードをしていても、すべての外傷を完全に防ぐことはできません。

特に永久歯が完全に抜けた場合には、受傷後の対応と歯科医院を受診するまでの時間が重要です。

そのため、選手本人だけでなく、子どものスポーツでは保護者やコーチも歯の外傷時の応急処置を知っておくことが重要です。

「スポーツで歯が折れた・抜けたらどうする?永久歯・乳歯の応急処置を歯科医師が解説」


まとめ|スポーツを楽しむために「歯を守る」という選択を

ラグビーをはじめとするコンタクトスポーツでは、接触や転倒によって歯が欠ける、折れる、動く、抜けるなどの外傷が起こることがあります。

マウスガードは、こうしたスポーツによる歯や口腔周囲の外傷リスクを減らすための予防方法の一つです。ADAやAAPDも、口腔顔面外傷のリスクがあるスポーツで、適切にフィットしたマウスガードの使用を推奨しています。Ada Initiative

一方で、

「ラグビーだからこのマウスガード」
「子どもだからこのサイズ」

と単純に決められるものではありません。

競技、年齢、歯並び、歯の生え変わり、矯正治療の有無などを考える必要があります。

ありが歯科では、ケガをした歯を治療するだけでなく、できるだけケガをする前に自分の歯を守ることも大切な歯科医療だと考えています。

ホーチミンでスポーツを楽しむ子どもから大人まで、長く自分の歯でスポーツを続けられるよう、歯科の立場からサポートしていきたいと考えています。


よくある質問

Q. 子どものラグビーでもマウスガードは必要ですか?

ラグビーは接触による口腔外傷のリスクがあるため、子どもでもマウスガードによる保護を検討します。成長期は歯の生え変わりがあるため、適合を定期的に確認することも重要です。

Q. サッカーやバスケットボールでも必要ですか?

ラグビーほど激しい接触を想像しにくい競技でも、選手同士の接触や転倒による歯の外傷は起こり得ます。ADAもサッカーやバスケットボールをマウスガード使用を推奨する競技に含めています。Ada Initiative

Q. 市販のマウスガードでも効果がありますか?

適切にフィットした市販品も選択肢になります。重要なのは「市販か歯科医院製か」だけではなく、適合し、競技中に正しく継続して使用できることです。

Q. マウスガードをすれば絶対に歯は折れませんか?

いいえ。マウスガードは外傷のリスクや重症度を低減するためのもので、すべての歯の外傷を完全に防ぐものではありません。

Q. マウスガードは脳震盪も防ぎますか?

歯や口腔外傷の予防については支持するエビデンスがありますが、脳震盪予防については研究結果が一貫していません。そのため「マウスガードをすれば脳震盪を防げる」とは言えません。Ada Initiative

Q. 子どものマウスガードは何年使えますか?

一律に「○年」とは決められません。乳歯から永久歯への交換や歯列・顎の成長によって適合が変わるため、定期的な確認が必要です。


参考文献

  1. American Dental Association. Athletic Mouth Protectors (Mouthguards). Updated 2026.
    スポーツ用マウスガードの適応、種類、外傷予防、脳震盪との関係などをまとめたADAの資料です。Ada Initiative
  2. American Academy of Pediatric Dentistry. Policy on Prevention of Sports-Related Orofacial Injuries. Reference Manual of Pediatric Dentistry 2026-2027.
    小児・青少年のスポーツによる口腔顔面外傷とマウスガードに関するAAPDの方針です。AAPD
  3. Comparative analysis of dental trauma in contact and non-contact sports: A systematic review. Dental Traumatology. 2024. PMID: 38641923.
    コンタクトスポーツと非コンタクトスポーツにおける歯科外傷を比較したシステマティックレビューです。PubMed

執筆・監修歯科医 ありが歯科院長 有賀智哉

日本人歯科医師として、ホーチミン旧1区にて日本品質の歯科治療を提供。
一般歯科・小児矯正・インプラント・ホワイトニングまで幅広く対応しています。

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