「虫歯が深いので、歯の神経を抜く必要があります」
歯医者さんで突然こう言われると、
「神経を抜いて大丈夫なの?」
「ものすごく痛い治療なのでは?」
「神経を取ったら歯はどうなる?」
「何回くらい通わないといけない?」
「神経を残す方法はないの?」
と不安になる方は多いと思います。
また、以前に日本で神経を取った歯が、ホーチミンに来てから突然痛くなり、
「神経がないはずなのに、どうして痛いの?」
と驚いて来院される方もいます。
一般的に「歯の神経を取る」「歯の根を治療する」と言われる治療が、**根管治療(こんかんちりょう)**です。
根管治療は、ただ神経を取るための治療ではありません。
大きな目的は、炎症や感染が起きた歯の内部を治療して、できるだけ自分の歯を抜かずに残すことです。
ありが歯科でも、可能な限り歯を抜かず、削る量を抑えながら歯の寿命を延ばすことを大切にしています。
この記事では、ホーチミンで歯の神経や根の治療が必要になった方に向けて、根管治療とは何をする治療なのか、抜髄と感染根管治療の違い、治療回数、痛み、治療後の被せ物などについて、日本人歯科医師が分かりやすく説明します。

そもそも「歯の神経」とは?
歯は外側から、
エナメル質 → 象牙質 → 歯髄
という構造になっています。
一般的に「歯の神経」と呼んでいるものが、歯の内部にある**歯髄(しずい)**です。
歯髄には神経だけではなく、血管なども含まれています。
そして歯の根の中には、歯髄が通っている非常に細い管があります。
これを、
根管(こんかん)
と呼びます。
つまり「根管治療」とは、この歯の根の中にある細い管を治療することです。
なぜ歯の神経を抜かなければならないの?
一番多い原因の一つが、深く進行した虫歯です。
虫歯がまだ小さければ、虫歯になった部分を取り除き、詰め物などで修復することで神経を残せる場合があります。
しかし、虫歯が象牙質の奥まで進み、歯髄に強い炎症や感染が起こると、神経を保存することが難しくなることがあります。
例えば、
何もしなくてもズキズキ痛い
夜になると痛みが強くなる
冷たいものだけでなく温かいものでも痛い
刺激がなくなってもしばらく痛みが続く
などの症状が現れることがあります。
ありが歯科の「歯が痛い」ページでも、夕方から夜に痛みが出る場合には歯髄炎が関係していることがあるため、早めの受診をおすすめしています。
ただし、症状だけで「神経を抜かなければならない」と決めることはできません。
診察やレントゲンなどから歯の状態を確認し、神経を保存できる可能性があるのかを判断することが重要です。
ありが歯科では、できるだけ神経を残すことを考えます
「神経を抜いたほうが治療は簡単だから、すぐ取ってしまう」
ありが歯科では、そのような考え方で治療をしているわけではありません。
歯髄を保存できる可能性があるのであれば、できるだけ神経を残して自分の歯を長く使えるようにすることを大切にしています。
実際、ありが歯科では以前から「歯の寿命を長くする治療」というページを設け、虫歯の進行状況、症状、レントゲンなどから神経を残せるかを判断することを説明しています。
ただし、
「神経を残す=常に正解」ではありません。
回復が期待できないほど歯髄の炎症が進んでいたり、すでに感染が広がっていたりする場合には、歯を残すために根管治療が必要になることがあります。
大切なのは、
「神経を絶対に取らないこと」ではなく、「その歯をできるだけ長く残すこと」
だと考えています。
「抜髄」と「感染根管治療」は何が違う?
患者さんにはどちらも「根の治療」と説明されることが多いのですが、状態には違いがあります。
抜髄(ばつずい)とは?
抜髄とは、強い炎症などによって保存することが難しくなった歯髄を取り除く処置です。
例えば、虫歯が深くまで進行して歯髄に炎症が起こり、回復が期待できないと判断した場合などに行います。
患者さんがよく言う、
「神経を抜いた」
という治療はこちらに当たります。
感染根管治療とは?
一方、神経がすでに壊死していたり、根管内部に細菌感染が起きていたりする歯を治療するのが感染根管治療です。
感染が根の先まで広がると、根の周囲に炎症が起き、
「噛むと痛い」
「歯ぐきが腫れる」
「膿が出る」
「歯ぐきにニキビのようなできものができる」
といった症状が出ることがあります。
ここで注意してほしいのは、
神経が死んでいるからといって、必ず強く痛むとは限らない
ことです。
「以前ものすごく痛かったのに、急に痛くなくなった」
という場合もあります。
痛みがなくなったからといって、感染まで治ったとは限りません。
根管治療では何をするの?
「根の治療」と聞いても、実際に何をしているのか分からない方が多いと思います。
基本的には、歯の内部から炎症や感染した組織を取り除き、細い器具などを使用して根管内部を清掃していきます。
そして必要に応じて消毒などを行い、根管内の状態を整えます。
最後に、再び細菌が入り込みにくくするため、根管内部を材料で封鎖します.
簡単にいうと、
感染した歯の内部をきれいにする
↓
根の中を清掃・消毒する
↓
根管を封鎖する
↓
歯を修復して再び使えるようにする
という治療です。
根管治療はなぜ何回もかかるの?
「根の治療は何回で終わりますか?」
これは非常によく聞かれます。
結論からいうと、
歯の状態によって違います。
前歯と奥歯では根管の数も異なりますし、根管は必ずしも真っすぐではありません。
曲がっていたり、細かったり、複雑に分岐していたりすることもあります。
さらに、
初めて神経を取る歯なのか、
すでに感染している歯なのか、
過去に根管治療を受けた歯を再治療するのか、
によっても治療内容が変わります。
そのため、
「根管治療なら必ず○回」
とは一律に決められません。
ホーチミン在住の方の場合、
「来月日本へ一時帰国する」
「長期出張が入る」
「数か月後に本帰国する」
といった予定がある方も多いと思います。
治療計画にも関係しますので、帰国や出張の予定が分かっている場合には最初にお伝えください。
根管治療は痛い?
「神経を抜く」と聞くと、これが一番心配かもしれません。
通常、必要に応じて局所麻酔を使用し、できるだけ痛みに配慮しながら治療します。
ただし、炎症の状態によっては麻酔が効きにくい場合もあります。
また、根管治療後に数日程度、噛んだときの違和感や痛みを感じることもあります。
強い痛みや腫れが続く場合は、我慢せず歯科医院へ連絡してください。
ありが歯科でも「痛みにケアする」ことを診療上の約束の一つとして掲げています。
神経を取った歯なのに、なぜまた痛くなるの?
「10年前に日本で神経を取った歯が痛くなりました」
このような相談もあります。
患者さんからすると、
「神経がないのだから痛くないはず」
と思いますよね。
しかし、神経を取ったのは歯の内部です。
歯の周囲には歯根膜、歯ぐき、骨などの組織があります。
根の先に炎症が起きれば、噛んだときの痛みや腫れを感じることがあります。
過去に根管治療した歯でも、新しい虫歯、被せ物や詰め物からの細菌侵入、歯の亀裂などによって再び問題が起こることがあります。
その場合に検討されるのが再根管治療です。
根管治療でCTを撮ることはある?
あります。
根管は歯の内部にある非常に細い構造です。
通常のレントゲンで確認できることも多いですが、症例によっては歯科用CTによる三次元的な確認が診断に役立つ場合があります。
ありが歯科では必要に応じてレントゲンやCT撮影を行い、現在の状態を確認してから治療方法・期間・費用について説明しています。
ただし、
根管治療をする人全員にCT撮影が必要という意味ではありません。
歯の状態や治療歴などから必要性を判断します。
根の治療が終わったら被せ物が必要?
根管治療が終了したからといって、すべての治療が終わるとは限りません。
根管治療が必要になった歯は、大きな虫歯などによって歯質を失っていることがあります。
そのため、残っている歯の量や場所、噛み合わせなどを確認し、土台・詰め物・被せ物などによる修復を検討します。
ありが歯科の治療費ページでも、コンポジットレジン、ファイバーコア、メタルコア、クラウンなどの修復治療を案内しています。
「根の治療が終わったので、仮の蓋のまま放置」
というのは避けましょう。
根管治療を途中でやめるとどうなる?
痛みがなくなると、
「もう大丈夫かな」
と思って通院をやめてしまう方がいます。
しかし、痛みがなくなったことと、根管治療が終了したことは別です。
仮の材料のまま長期間放置すると、再び細菌が侵入したり、歯が欠けたりする可能性があります。
特に海外生活では、
「日本で治療を始めたけれど、途中でベトナムへ赴任した」
ということもあるでしょう。
その場合は、そのまま何か月も放置せず、一度歯科医院で状態を確認することをおすすめします。
日本で根管治療の途中でもホーチミンで相談できますか?
もちろん相談できます。
可能であれば、
日本で撮影したレントゲン画像、治療内容が分かる資料、紹介状など
があればお持ちください。
資料がなくても、現在の状態を診察し、必要に応じてレントゲンやCTなどで確認できます。
ありが歯科では診察後、検査結果をもとに治療方法・期間・費用を日本語で説明し、納得していただいてから治療を開始しています。
根管治療の費用はいくら?
ありが歯科の現在の治療費ページでは、
抜髄:600,000VND~
根管貼薬:330,000VND~
根管充填:2,200,000VND~
となっております。
ただし、実際に必要になる費用は歯の種類や治療内容によって異なります。
根管治療後に土台や被せ物などが必要になる場合は、その費用も考える必要があります。
そのため、
「根管治療全部でいくら?」
については、診察・検査後に治療計画と合わせて確認してください。
最新料金はこちらをご確認ください。
根管治療をすれば絶対に歯を残せる?
残念ながら、根管治療をすれば100%すべての歯を残せるわけではありません。
虫歯が非常に大きい、歯が深い位置まで割れている、歯周病によって歯を支える組織が大きく失われているなど、状態によっては保存が難しい場合もあります。
だからこそ、ありが歯科では残せる歯を簡単に抜歯してインプラントにするのではなく、まず保存できる可能性を考えることを大切にしています。
根管治療も、そのための重要な選択肢の一つです。
根管治療についてよくある質問10個
Q1. 歯の神経を抜くと歯は死んでしまうのですか?
歯髄を取り除くため、歯の内部の神経や血管はなくなります。しかし、歯そのものをすぐ抜くわけではありません。根管治療と適切な修復を行い、自分の歯として使用することを目指します。
Q2. 神経を抜かずに治すことはできますか?
歯髄の炎症の程度によります。神経を保存できる可能性がある場合は、できるだけ残すことを検討します。ただし、回復が期待できない炎症や感染がある場合には根管治療が必要になることがあります。
Q3. 根管治療は何回くらい通いますか?
歯の種類、根管の形、感染状態、過去の治療歴などによって異なります。「必ず○回」とは決められないため、診察後に治療計画をご説明します。
Q4. 根管治療は痛いですか?
必要に応じて局所麻酔を使用し、痛みに配慮して治療します。ただし炎症の状態などによって感じ方には個人差があります。治療後に一時的な違和感や痛みが出る場合もあります。
Q5. 神経を取った歯が数年後に痛くなることはありますか?
あります。根の周囲の炎症、新しい虫歯、被せ物などからの細菌侵入、歯の亀裂などによって、以前に根管治療した歯でも再び問題が起きることがあります。
Q6. 歯ぐきにニキビのようなものがあります。根の病気ですか?
根の先の感染によって、歯ぐきに小さなできものができることがあります。ただし他の原因も考えられるため、診察やレントゲンなどによる確認が必要です。
Q7. 痛みがなくなったら治療しなくても大丈夫ですか?
自己判断で放置することはおすすめできません。神経が壊死して痛みが弱くなっている可能性もあり、痛みがないことだけでは感染が治ったとは判断できません。
Q8. 日本で根管治療の途中ですが、ありが歯科で続きを診てもらえますか?
ご相談いただけます。日本の歯科医院で撮影したレントゲンや治療内容が分かる資料があればお持ちください。資料がない場合も、現在の状態を確認して今後の治療についてご説明します。
Q9. 根管治療後は必ず被せ物をしますか?
必ず同じ治療になるわけではありません。残っている歯の量、歯の場所、噛み合わせなどから詰め物・土台・被せ物など適切な修復方法を判断します。
Q10. 「根幹治療」と「根管治療」は違いますか?
歯科治療で使用する正式な言葉は**「根管治療(こんかんちりょう)」**です。「根幹治療」と検索されることもありますが、歯の根の中にある「根管」を治療するため根管治療と呼びます。
ホーチミンで歯の神経・歯の根の治療が必要と言われた方へ
「神経を抜くと言われたけれど、本当に必要なのか知りたい」
「夜になると歯がズキズキする」
「噛むと一本だけ痛い」
「歯ぐきにできものがある」
「昔、神経を取った歯がまた痛くなった」
「日本で根管治療の途中だった」
「ベトナムで歯の根の治療を受けるのが不安」
このような場合は、一度ご相談ください。
ありが歯科では、ホーチミン旧1区で日本人歯科医師が診察し、必要に応じてレントゲンやCTなどで状態を確認し、治療内容・期間・費用を日本語で説明してから治療を進めています。
根管治療は、
「神経を抜くためだけの治療」ではありません。
炎症や感染が起きてしまった歯を治療し、できるだけ抜歯を避け、自分の歯を残すために行う治療でもあります。
そして、すべての歯で神経を取る必要があるわけでもありません。
まず、
神経を残せる状態なのか。
根管治療が必要なのか。
すでに感染根管になっているのか。
過去に治療した歯の再根管治療が必要なのか。
その歯を今後どのように修復していくのか。
現在の状態を確認してから、一緒に考えていくことが大切です。
→ 歯が痛い・歯ぐきが腫れた方はこちら
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執筆・監修:ありが歯科 院長 有賀智哉
※この記事は一般的な歯科情報を提供することを目的としています。実際に根管治療が必要かどうか、治療方法・回数・費用などは、歯の状態や検査結果によって異なります。


