「ベトナムで売っている子ども用歯磨き粉を使っているけれど、フッ素はちゃんと入っているの?」
「子ども用なら、どの商品を選んでも同じ?」
「日本から歯磨き粉を持ってきた方がいい?」
ホーチミンで子育てをしているお母さん、お父さんにとって、意外と迷うのが子どもの歯磨き粉選びです。
ベトナムのスーパーやドラッグストアを見ると、GUM、Kodomo、Colgateなど、さまざまな子ども用歯磨き粉が並んでいます。
パッケージには「Kids」「2~6歳」「3~6歳」などと書かれているため、「子ども用ならどれでも大丈夫」と思ってしまいがちです。
しかし、歯科医師としてぜひ確認していただきたい数字があります。
それが、
「フッ素濃度(ppmF)」
です。
実は、日本では子どもに推奨されるフッ素入り歯磨き粉の濃度が見直されています。
さらに、ベトナムで販売されている子ども用歯磨き粉を調べてみると、日本の現在の推奨濃度に近い商品もあれば、それより低い濃度の商品もあります。
今回は、ベトナムで子育てをしている保護者の方に向けて、子どもの歯磨き粉の選び方をできるだけ分かりやすくありが歯科が解説します。

そもそもフッ素は、なぜ歯磨き粉に入っているの?
フッ素(フッ化物)は、子どものむし歯予防において非常に重要な役割を持っています。
フッ素には、
・歯から溶け出したカルシウムやリンが戻る「再石灰化」を促進する
・歯の表面を酸に強くする
・むし歯の原因となる細菌の働きを抑える
などの作用があります。
そのため、毎日の歯磨きで適切な濃度のフッ素を歯に作用させることは、家庭でできる重要なむし歯予防の一つです。
WHO(世界保健機関)も、むし歯予防のために1000~1500ppmのフッ素を含む歯磨き粉による1日2回の歯磨きを推奨しています。
「子どもには500ppm」は現在の日本の推奨とは違います
少し前まで、
「小さい子どもには500ppmくらいの低濃度フッ素」
というイメージを持っていた方も多いと思います。
しかし、日本では2023年に日本小児歯科学会など4学会が、フッ化物配合歯磨剤の推奨を変更しました。
現在の目安は次の通りです。
| 年齢 | 推奨されるフッ素濃度 | 1回に使用する量 |
|---|---|---|
| 歯が生えてから2歳 | 900~1000ppmF | 米粒程度(1~2mm) |
| 3~5歳 | 900~1000ppmF | グリーンピース程度(約5mm) |
| 6歳以上 | 1400~1500ppmF | 約1.5~2cm |
ここで注目していただきたいのが、歯が生えてから5歳までは900~1000ppmFが推奨されているという点です。
つまり現在は、
「子どもだからフッ素濃度はできるだけ低く」
ではなく、
「むし歯予防に必要な濃度を、年齢に合わせた適切な量で使う」
という考え方になっています。

では、ベトナムの子ども用歯磨き粉は何ppm?
ここがお母さんたちに一番知っていただきたいところです。
ベトナムで流通している子ども用歯磨き粉を調べると、商品によってフッ素濃度が異なります。
特に分かりやすいのがSUNSTAR GUMです。
GUM Kids(2~6歳)
ベトナムで流通しているSUNSTAR GUM Toothpaste for Kidsについて、ベトナムの正規流通会社SCgateがSUNSTARからの確認情報として公表している現在のフッ素濃度は、
950ppmF
です。
以前は498ppmFでしたが、現在の製品では950ppmFへ変更されています。
これは、日本で3~5歳に推奨されている900~1000ppmFの範囲内です。
GUM Junior(7~12歳)
7~12歳向けのGUM Juniorもフッ素濃度が変更されています。
現在公表されている濃度は、
1425ppmF
です。
日本では6歳以上について1400~1500ppmFが推奨されていますので、こちらも日本の現在の推奨範囲に入ります。
永久歯が次々と生えてくる時期は、生えたばかりの永久歯がまだ成熟しておらず、むし歯にも注意したい時期です。
年齢に合ったフッ素濃度の歯磨き粉を選ぶことは大切です。
Kodomoは約500ppmFと紹介されている商品があります
ベトナムで非常によく見かけるのがKodomoです。
Colgate Vietnamが掲載している子ども用歯磨き粉の紹介記事では、3~6歳向けのKodomoについて、
約500ppmF
と紹介されています。
日本の現在の3~5歳の推奨濃度900~1000ppmFと比較すると、低い濃度になります。
ただし、ここで注意してください。
Kodomoには国や商品によって異なる仕様があり、海外では1000ppmの商品などもあります。
そのため、
「Kodomoは全部500ppm」
と判断するのは適切ではありません。
実際にベトナムで購入するときには、商品パッケージの表示を確認してください。

日本の推奨とベトナムの商品を比較してみましょう
ここまでを簡単に比較すると次のようになります。
| 商品・年齢 | フッ素濃度 | 日本の年齢別推奨と比較 |
|---|---|---|
| 日本:歯が生えて~2歳 | 900~1000ppmF | 推奨値 |
| 日本:3~5歳 | 900~1000ppmF | 推奨値 |
| 日本:6歳以上 | 1400~1500ppmF | 推奨値 |
| ベトナム GUM Kids 2~6歳 | 950ppmF | 3~5歳では推奨範囲内※ |
| ベトナム GUM Junior 7~12歳 | 1425ppmF | 推奨範囲内 |
| ベトナムで紹介されるKodomo 3~6歳 | 約500ppmF | 3~5歳では日本の現在の推奨より低い |
| Colgate Kids | フッ素配合製品あり | 商品ごとのppm表示を確認 |
※6歳は日本の推奨区分では1400~1500ppmFになります。
この比較を見ると、
「ベトナムの子ども用歯磨き粉はフッ素が少ない」
と一括りにはできないことが分かります。
現在では、GUMのように日本の推奨濃度に合う製品もベトナムで流通しています。
一方、低濃度の商品や、ウェブサイトだけでは具体的なppmが分からない商品もあります。
だからこそ、「Kids」という文字だけで選ばず、フッ素濃度を確認することが重要なのです。

パッケージのどこを見ればいいの?
ベトナムで子ども用歯磨き粉を購入するときは、パッケージの裏側を見てください。
チェックしたい言葉は、
Fluoride
Sodium Fluoride
Sodium Monofluorophosphate
ppmF
などです。
例えば、
「Fluoride 950ppm」
と表示されていれば分かりやすいですね。
一方、
「Sodium Fluoride配合」
としか書かれていない商品では、それだけでは最終的なフッ素濃度を判断できない場合があります。
分からない場合は、商品を歯科医院へ持ってきていただいても構いません。
1000ppmは小さい子どもには強すぎないの?
「小さな子に1000ppm近いフッ素を使って大丈夫なの?」
と心配になるお母さんもいるでしょう。
そこで重要なのが、濃度だけでなく歯磨き粉の使用量を守ることです。
歯が生えてから2歳までは、900~1000ppmFを使用しますが、量は米粒程度(1~2mm)。
3~5歳では同じ900~1000ppmFでも、**グリーンピース程度(約5mm)**です。
小さい子どもに歯ブラシいっぱいの歯磨き粉をつけるわけではありません。
保護者が歯磨き粉をつけてあげることで、使用量を管理しましょう。
歯磨きの後、何回うがいをすればいい?
これも診療室でよく聞かれる質問です。
せっかくフッ素入り歯磨き粉を使っても、歯磨き後に何度もブクブクうがいをすると、口の中に残るフッ素が減ってしまいます。
そのため、
歯磨き後は歯磨き粉を吐き出し、すすぐ場合は少量の水で最小限にする
のがポイントです。
日本では分かりやすく、**「少量の水で1回程度」**と覚えておくとよいでしょう。
まだ上手にうがいができない小さなお子さんは、年齢に合った少量の歯磨き粉を使用し、無理に何度もうがいをさせる必要はありません。
「フッ素を残す歯磨き方法」3ステップ
① 年齢に合った量をつける
↓
② しっかり歯磨き
↓
③ 吐き出す・すすぐなら少量の水で最小限
ベトナムで子どもの歯磨き粉を選ぶ5つのポイント
スーパーやドラッグストアで迷ったら、次の5つを確認してください。
①「子ども用」という表示だけで選ばない
Kidsと書かれていても、フッ素濃度は商品によって異なります。
② フッ素が入っているか確認する
Fluoride、Sodium Fluorideなどの表示を確認しましょう。
③ 何ppmFなのか確認する
目安は、歯が生えてから5歳まで900~1000ppmF、6歳以上1400~1500ppmFです。
④ 年齢に合わせた量を使う
特に小さなお子さんは、保護者が歯磨き粉をつけてあげてください。
⑤ 歯磨き後に何度もすすがない
せっかく使用したフッ素を全部洗い流さないことも大切です。
まとめ|ベトナムでも「Kids」ではなく「ppm」を見てみましょう
ベトナムには、たくさんの子ども用歯磨き粉が販売されています。
大切なのは、
「ベトナムの歯磨き粉だからダメ」でも、
「子ども用だから何でも大丈夫」でもありません。
現在確認できるベトナム流通品では、
GUM Kids:950ppmF
GUM Junior:1425ppmF
と、日本の現在の年齢別推奨範囲に合う製品があります。
一方、Kodomoの3~6歳向け製品には、ベトナム向け情報で約500ppmFと紹介されているものもあります。
商品はリニューアルされたり、同じブランドでも輸入元や販売国によって仕様が異なったりすることがあります。
ですから、最終的には今、手に取っている商品のパッケージを確認することが大切です。
お子さんの歯磨き粉を選ぶときは、
「何歳用?」
「フッ素は入っている?」
「何ppm?」
この3つをぜひ確認してみてください。
毎日の歯磨き、仕上げ磨き、適切なフッ素の使用、食生活、定期的な歯科検診。
これらを組み合わせることが、子どもの大切な歯をむし歯から守ることにつながります。
「今使っている歯磨き粉で大丈夫かな?」
と心配な場合は、歯磨き粉のパッケージを歯科医院へ持ってきていただければ、年齢やお口の状態に合わせて一緒に確認できます。
参考資料
・日本小児歯科学会ほか4学会「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について」2023年
・World Health Organization(WHO)Oral Health
・World Health Organization「Prevention and treatment of dental caries with mercury-free products and minimal intervention」
・SCgate / SUNSTAR「Cập nhật hàm lượng fluoride trong kem đánh răng SUNSTAR GUM Kids tại Việt Nam」
・Colgate Vietnam「Top 10 kem đánh răng trẻ em an toàn, tốt nhất hiện nay」
執筆・監修歯科医 ありが歯科院長 有賀智哉
日本人歯科医師として、ホーチミン旧1区にて日本品質の歯科治療を提供。
一般歯科・小児矯正・インプラント・ホワイトニングまで幅広く対応しています。
日本語対応で安心してご相談いただけます。
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